スポンサーリンク

親会社の倒産と子会社の行方

先日は、子会社が倒産した場合の親会社の責任について考えてみましたが、今回は逆のパターン、即ち、親会社が倒産した場合に子会社がどうなるかについて考えてみたいと思います。

先日の記事をご覧頂ければ、親会社も子会社も法的には独立した関係であり、親会社が子会社の株式を(多く)持っているという関係に過ぎませんので、親会社が倒産したからといって子会社が直ぐに倒産する訳ではありません。例えば、上場会社などをイメージしてもらえばわかると思いますが、個人株主が破産しても所有する株式の発行会社には何も影響はないですよね?あるとすれば、破産に伴って所有していた株式が処分され、新しい株主に譲渡されることになるだけです。

中小企業を含め、上場していない会社であっても同じことが起こるのであって、親会社(株主)にとって株式は所有する財産の1つに過ぎませんから、親会社が破産すれば、その破産に伴う財産処分の一環として、新たな株主(オーナー)への譲渡が模索されることになるのです。

但し、上場企業などの株式をごく少数保有する株主の破産の場合と、親会社といえる程の多数の株式を保有をしている者の破産の場合とで事情が異なるのは、前者では株式の保有以外の関係がないのが通常であるのに対して、後者では株式の保有以外に、何らかの取引関係や子会社と親会社(または親会社を通じた兄弟会社)との間にある場合が多い点です。

つまり、子会社が(倒産した)親会社やその親会社を通じた兄弟会社を主要な取引先としていたり、運転資金の貸し付けなどで依存していたりして、親会社やその企業グループから独り立ち出来ていない場合、親会社の倒産やそれに伴う企業グループの解体によって子会社自身も倒れてしまう場合があるのです。

従って結論としては、大株主である親会社が倒産しても、株式という資本の繋がりによっては連鎖して倒産することはありませんが、取引や資金面で依存していると、第三者の取引先が連鎖倒産するのと同様に子会社も倒れてしまうことになります。ですので、取引先の親会社が破綻したという一報を得た場合には、直ぐに子会社も破産すると思い込むのではなく、親会社と子会社の取引関係や、子会社の親会社への依存度などをリサーチした上で判断する必要があります。

以上、ご参考になればと思います。