スポンサーリンク

期限前納品と受領拒否(下請法)

下請法が適用される取引関係(物品やコンテンツなどの情報成果物、業務委託等の取引内容や資本規模によって判断されます。)の場合、親事業者が下請事業者側の責任があるような事情がないのに、下請事業者からの受領を拒む事は下請法で禁止されています。

下請法上禁止される受領拒否とは

例えば、親事業者の取引先(親事業者が中間事業者であるような場合)の事情で、下請事業者からの納品が必要なくなった場合でも、発注した以上は発注対象物を受領して代金を支払わなければならないのです。完全に受け取らないとする場合が典型例ですが、親事業者側で在庫が滞留してしまったので、納期を延ばして欲しいとして、予め定めた納期に受け取らない場合も受領拒否に該当する事になります。

他方で、下請事業者に責任があるような場合まで下請法で受領を義務づけられていないため、納品された製品などに瑕疵があるような場合や、納期から遅れて納品されたような場合は、原則として下請事業者側に責任があることになりますので、受領を拒否しても下請法上問題になることはありません。勿論、このような場合でも親事業者側の判断で納品を受領し、損害賠償などの問題とする事は出来ます。

納期前の納品を拒否することは受領拒否に該当するか

では、予め定められた納期前に納品があった場合に、これを拒否することは下請法上問題になるのでしょうか。

この場合、納期前の納品を受領する義務は親事業者側にはありませんので、納期前であることを理由に受領を断り、改めて納期に納品するように指示することが可能です。

親事業者側にも納品された商品のスペースや検品などのスケジュールもあるでしょうから、当然のことと言えます。

この場合でも親事業者側の判断で納期前の納品を受け取る事は可能です。この場合に、正式な「受領」としてしまうと、受領後60日以内に下請代金を支払わなければならないというルールの60日のカウントが、本来の納期前に始まってしまうことに注意が必要です。

これに対して、納期前の受領について正式な受領とせずに「仮受領」と扱えば60日のカウントはスタートしませんが、表向き「仮受領」としたにも関わらず、納期前に、その納品物を使ったり転売したような場合には実際には「仮受領」ではなかった事になりますから、受け取った日が受領日となります。

また、こちらも支払遅延の問題になりますが、「仮受領」とした後に検査をして検査完了時点で正式な「受領」とする事は納期前であれば可能です。納期後であれば検査前でも受領した時点で60日のカウントが始まるのが原則ですが、納期前であればこのような扱いをする事も認められるのです。ただ、「仮受領」あと、検査が完了する前に納期が来てしまった場合には、納期の日が受領日となります。