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無理な内容の契約をしていませんか?下請法に気をつけましょう

2018-09-19

取引先との契約で、「無理な要求をされて困っている」とか「色々と要求しちゃっているけど大丈夫かな?」と思ったことはありませんか?
基本的に契約(特に会社間でのビジネスに関する契約)では、契約自由の原則が適用されて、当事者間で納得して締結したのであれば、その合意どおりの効力が発生するということになります。
しかし、大企業と零細企業の間の取引で、零細企業がその大企業との取引に依存している場合には、そもそも契約自由の原則の前提となる公平な契約交渉が出来るのかという点が問題になります。

このような問題意識から、独占禁止法では、優越的な地位を有する当事者が、自身の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引する行為を「優越的地位の濫用」として規制しています。
ただ、どのような取引関係に「優越的地位の濫用」が適用されるかは、色々な要素が検討されるため、必ずしも明確ではありません。

そこで、より明確な基準を設けた使いやすい法律として「下請法」という法律がありますので、通常はこの下請法が適用されるかを考えて、下請法が適用されない場合に独占禁止法の優越的地位の濫用に当たらないかを考えることになります。

下請法とは

下請法は、親事業者と下請事業者との間には、取引関係上、親事業者が優位な地位を有していることが多く、またその地位を利用して、下請事業者に不当な取引条件を押しつけることがあるため、このような問題に対処するために定められた法律です。

どのような取引に下請法が適用されるのか

下請法が適用されるかどうかは、①取引の内容と②取引当事者の資本金という二つの要件によって判断されます。

① 取引の内容

対象となる取引は、その内容によって「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」と「役務提供委託」の四つに分類されます。

・「製造委託」とは、親事業者が販売する製品、又は、製造加工を請け負った目的物そのものや、その半製品、部品、付属品、原材料、あるいは、その製造加工に利用する金型等を委託すること。あるいは、親事業者自身が使用する製品について、その親事業者が自分で製造出来る場合に、その製品又は半製品、部品の製造などを委託することをいいます。
典型的には、機械などのメーカーがその部品や材料を下請けから仕入れる取引が該当します。

・「修理委託」とは、物品の修理を業としている事業者が、請け負った修理作業又は自分が使用する物品の修理作業を委託することをいいます。
例えば、自動車の修理を請け負った自動車修理業者が、その全部又は一部を、他の業者に委託する場合があります。このような自動車修理業者が自分の所有する車の修理を外部に委託する場合も該当します。

・「情報成果物作成委託」とは、プログラムや映像・音声、デザイン・広告などのコンテンツを自ら提供したり、他から引き受けている事業者が、第三者へ提供したり第三者から引き受けたコンテンツや自ら使用するためのコンテンツの作成を委託することをいいます。
例えば、ゲーム運営会社がそのプログラムやゲームで使用する絵などのコンテンツ作成を外部に委託する場合があります。

・「役務提供委託」とは、親事業者が業として提供しているサービスの全部又は一部を委託することをいいます。
例えば、メンテナンスを請け負った会社が、その全部又は一部を他の業者に委託する場合があります。

② 取引事業者の資本金

①の取引内容を満たす場合に、取引内容に応じて、親事業者と下請事業者の資本金の間に下記の関係があれば下請法が適用されます。

・取引内容が情報成果物作成委託(プログラム作成以外)と役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管及び情報処理を除く。)である場合

1) 親事業者の資本金が5000万円超で、下請事業者が資本金5000万円以下又は個人事業者の場合
2) 親事業者の資本金が1000万円超5000万円以下で、下請事業者が資本金1000万円以下又は個人事業者の場合

・上記の取引内容以外の場合。

1)親事業者の資本金が3億円超で、下請事業者が資本金3億円以下又は個人事業者の場合
2)親事業者の資本金が、1000万円超3億円以下で、下請事業者が資本金1000万円以下又は個人事業者の場合

下請法が適用されるとどうなるか

下請法が適用されると、親事業者は、①書面の交付義務、②支払期日を定める義務、③書類の作成・保存義務及び④遅延利息の支払義務をという4つの義務を課され、また、下請代金の遅延や減額、不当な経済上の利益の提供要請など11項目の禁止事項が下請法で定められています。

これらの内容については、次の機会にまとめたいと思います。