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相続人になれるのは誰か?

今回は相続があった場合の相続人とその相続分について確認したいと思います。

誰かが亡くなった場合にその相続財産をどう分けるかは、亡くなった方(法律用語で「被相続人」といいます。)が遺言を残していればそれに従えばいいのですが、遺言がない場合は相続人の間で話し合って分け方を決める必要があります(法律用語で「遺産分割協議」といいます。)。

相続人は誰か?

遺産分割協議は、全ての相続人がそろって全員の合意として成立しないと意味がないので、まず最初に誰が相続人かを決めなければなりません。

相続人は、配偶者と血の繋がった親族(法律用語で「血族」といいます。)で分けて考えます。

Ⅰ 配偶者

配偶者(夫や妻)は、常に相続人になります。
この配偶者は被相続人が亡くなった時点での配偶者を意味しますので、元配偶者は相続人にはなりません。
離婚の1週間後になくなっても相続人にはなりませんし、離婚後に被相続人が再婚していなくても結果は同じです。

また、配偶者は「法律上の」配偶者をいいますので、内縁の妻などは含まれません。理由やその生活実態は問われないので、夫婦別姓のために事実婚状態にあるという場合でも駄目です。
被相続人が亡くなった時点で住んでいた住居の居住権(所有権ではありません。)は保護される可能性がありますが、このような事実上の配偶者に確実に財産を残すためには遺言をする必要があります。

Ⅱ 血族

血族の場合、被相続人との関係で順番が決まっていて、上位の血族がいれば、下位の血族は相続人となりません。

①子供(直系卑属)

被相続人に子供がいれば、血族の中では子供だけが相続人になります。
子供には養子も含まれます。また、認知された子供(非嫡出子)も相続人になります。
被相続人が離婚している場合、離婚した配偶者は相続人にはならないことは上で述べたとおりですが、その元配偶者との間の子供も相続人になります。

被相続人よりも先に子供が死んでしまっていた場合はどうなるでしょうか。
この場合、その先に死んだ子供に更に子供(被相続人の孫になります。)がいれば、その孫が死んだ子供の代わりに相続人になります(法律用語で「代襲相続」といいます。)。ちなみに孫が死んでひ孫がいれば、そのひ孫が相続人となります。

②親、祖父母(直系尊属)

被相続人に子供(又は孫、ひ孫…)がいなければ、次は被相続人の親や祖父母(法律用語で「直系尊属」といいます。)が相続人となります。
被相続人に近い順に相続人になりますので、被相続人の両親が生きていればその両親が、両親が亡くなって祖父母が存命の場合にはその祖父母が相続人になります。

直系尊属の場合には代襲相続は考えません。次の兄弟姉妹が相続人として認められるからです。

③兄弟姉妹

被相続人に、子供・孫も両親・祖父母もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹の場合も、代襲相続の考え方は適用されるので、被相続人が亡くなる前に、兄弟姉妹が既になくなっていたが、その兄弟姉妹に子(被相続人から見たら甥や姪)が相続人となります。
ただ、被相続人の子供、孫、ひ孫と代襲相続するのに対し、兄弟姉妹の場合は1回だけですので、甥や姪の子が更に代襲相続することはありません。

相続割合は?

それぞれの場合の相続割合は次のようになります。

①配偶者と子供の場合

配偶者が2分の1、子供側が2分の1になります。子供が複数いれば子供の間で等分に分けることになります。
ですので、夫が亡くなり、妻と子供2人が残された場合、妻が2分の1、子供が4分の1ずつ分けることになります。
もし、子供1人が夫よりも先に亡くなって、その子供に子が2人(夫の孫)がいる場合、その孫2人は代襲相続で相続人になりますが、亡くなった子の相続分を引き継ぐ事になりますので、その相続分は8分の1ずつです。
このように代襲相続によって相続人が増えても、妻(2分の1)や生きている子供の相続分(4分の1)が減ることはありません。

②配偶者と親、祖父母(直系尊属)の場合

配偶者が3分の2、直系尊属側が3分の1です。直系尊属側が複数いる場合には、3分の1を等分に分け合うのは子供の場合と同じです。
例えば、妻と、亡くなった夫の両親が相続人となる場合は、妻が3分の2、夫の父と母が6分の1ずつ分ける事になります。

③配偶者と兄弟姉妹の場合

配偶者が4分の3、兄弟姉妹側が4分の1です。兄弟姉妹側が複数いる場合は4分の1を等分に分け合い、代襲相続が発生する場合、甥や姪はその親の相続分を均等に分ける事になります。

最後に

この法定相続分は、遺産分割協議をする際の目安であってこの通りに分けなければならないものではありません。
相続人全員が納得すれば、特定の人に多く分けることも可能です。
ただ、そのような話合いがまとまらず、最後に裁判になった場合には、この法定相続分を基準に判断されることになりますので、相続人全員で法定相続分と異なった分け方で合意できない場合には、この法定相続分が基準となって話合いが進められることが多いと思います。ちなみに、相続が始まる場合に特定の相続人が被相続人から特別な贈与を受けた場合(特別受益の問題)や、相続人が被相続人の財産の増加などに貢献した場合(寄与分の問題)によって、この法定相続分が調整されることがありますが、また別の機会に確認したいとおもいます。

このように相続人が決まるわけですが、ご自分の家庭に当てはめた場合に意外な人が相続人になっているということはないでしょうか?例えば、子供がいない夫婦の場合に、夫の兄弟や甥や姪が相続人になったり、再婚をしている場合に、先妻との子供が相続人になったりするのは、場合によっては、残された家族にとって納得がいかないということもあるのではないでしょうか。

遺言があれば、遺留分の問題は別として、ある程度相続の内容をコントロール出来るわけですから、自分が亡くなった場合に、法定相続分のままでは自分が財産を残したい人が困りそうだという方は遺言の作成を是非検討してみて下さい。