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VALU騒動は何が問題だったのか?

最近、ネットだけでなくテレビや新聞も賑わせたVALU騒動ですが、運営側でルールの見直しに取り組むなど新たな動きも出て来ました。

VALUとは何か

様々なところで取り上げられているので、VALUが何かについてはこの記事を読んでいる皆さんはご存じかも知れませんが、VALUとは次のようなもののようです。(十分に理解出来ているかも分かりませんし、また、ルールの変更があるかも知れませんので、正確かつ最新の情報についてはVALUの公式HPをご確認ください。

1)まず、VALUとは「発行者への応援の気持ちを表す特別なステータスのようなもの」(利用規約より)と定義されておりますが、私は一種の会員権のようなものと考えれば良いのではないかと思います。

2)発行者はVALUの運営サイトを通じて、VALU(以下VAといいます)を発行します。VAをいくつ発行できるかは発行者のSNSにおける価値の高低で評価されるそうです。(また、今のところ追加発行できないようです。)

3)発行者は、上記で発行したVAを、VALUの運営サイトを通じて第三者に売ることも出来ます。その時の値段は相場によって変動するそうで、購入者をVALUERと呼ぶそうです。

4)発行者のメリットとしては、①自分の価値(1つの物差しに過ぎませんが)を確認できる、②自分のVAを買ってくれる人がいればお金が手に入る(VAを売れるのはBitcoinだけのようですが、Bitcoinも現金に換金すれば最終的にはVAを現金化することが出来ます。)ということでしょうか。

5)また、VALUER側のメリットとしては、①発行者の活躍によってはVAの価値が購入時よりも上がり利益が出る、②発行者が実施する優待を受け取ることができるというところのようです。

VALUを疑似株式と言っていたことの問題点

現在は辞めたようですが、VALUの運営側ではVAについて「株式のようなもの」と説明しており、これについては誤解を生むのではというような疑問が呈されています。

一番の問題点は、株式であれば発行者(会社)の意思決定に対して議決権を持っていたり、解散するときの残余財産分配請求権があったり、発行者が生み出した利益による配当を受け取る権利をもっており、これらの権利は会社法という法律でも定められているのですが、VAにはこのような権利が欠けています。

すなわち、VAを保有するVALUERであっても、発行者の活動に対して何か指示が出来る訳ではなく意思決定に関与することは出来ません。また、発行者が死んでも相続人になるわけでももちろんありません。発行者がどんなにお金を稼いでいても、その利益の分配を請求する権利はありません。

VALUERが持っている権利と言えるのは、発行者がVALUERに対して「優待」を実施すると決めたときに受け取ることができる事と、VAをその時点での時価で売れるということぐらいでなのです。

ちなみに、この「優待」とは発行者がVALUERに対して提供するサービスなどであって、発行者によって様々ですが、イラストレーターであれば書いた絵を提供するとか、人気のある人であればオフ会への参加権、また相談に乗ってくれる権利だとかがあるようです。「優待」を実施する・しないは発行者の自由なので「優待」を設定しないひともいます。また、実施すると言っていた「優待」を辞めることもできるようです(一定期間前の告知をするように運営会社の方でルールを定めているようです。)

このように、VAと株式とは、時価で売買できるということぐらいしか同じではなく、「株式のようなもの」というのは、やはりミスリーディングであったと言わざるを得ません。

ちなみに本記事を書いている時点でもVALUの運営サイトの説明には「株式のようなもの」を臭わせる表現があちこちに残っています。

VALU騒動の本質と改善策

YoutuberによるVALU騒動について、インサイダー取引ではないかというような批判がありましたが、VAが金融商品取引法におけるインサイダー取引の規制対象では無い以上、同法上のインサイダー取引規制違反には該当しないことは明らかです。

他方で、刑法上の詐欺罪や、民事上の不法行為責任については形式的に白黒がつけられるものではなく、例えば最初から「優待」を実施するつもりがないのに、「優待」をやりますと公表して、値段が上がったところで売り抜けるのであればこれらの責任を問われる可能性は高くなると思います。

VALU運営側では一日に出来るVAの取引量の制限など新たなルールを設定するようですが、その場限りの対応に過ぎないように思います。

問題の本質はVALU運営者がVALUの実質について利用者に対して誤解を与えたことのように思います。VALUの本質的な価値は、①発行者が「優待」を実施すると決めれば「優待」を受け取れる(また「優待」の廃止も発行者次第)、②発行者の応援者になれる、③その時点での時価(買い手が現れず実質ゼロになることも)で処分できるということに尽きると考えられますが、VALUの運営者がこれらのことについて正確に利用者に伝えてこなかったように思います。

これらのことを余り強調すると、結局は、VALUの運営者も含めてVALUERがVAを購入したことについて誰も保証してくれず、発行者を信頼するしかないといことになり、VALUそのものの人気が下がる(その結果VAの価値も下がる)かも知れないのですが、それが実態である以上は、誤魔化してVAがもっと信頼性があるようなもののように表示するのは運営者として問題があるように思います。

結局のところVAは発行者のファンクラブ会員権のようなものに過ぎないと理解してもらうところから始める必要があるのではないでしょうか。