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自転車でもひき逃げになるというニュース

北海道で小学生が自転車にはねられて重傷を負ったひき逃げ事件で大学生が逮捕されたというニュースがありました。

自転車での事故が大きく報道されたのは、「ひき逃げ事件」として扱われているからではないでしょうか。

ひき逃げは、道路交通法72条で規定されており、交通事故があった場合の運転者等の運転を停止し負傷者の救護及び道路における危険防止義務違反を指します。(条文では逃げることは要件とされていないので、現実にはいないでしょうが、事故を起こした運転者が、事故現場で何もせずにブラブラしていてもひき逃げになることになります。)

72条ではこの義務を負う運転者について、「車両等の運転者」としており、車両には、自動車の他軽車両も含まれ(道路交通法2条8号)、軽車両には自転車が含まれますから(同条11号)、結論として自転車の運転者も、交通事故を起こした際には、運転を停止し、負傷者の救護などをしないと道交法72条違反となり、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金という刑事罰の対象となります(道交法117条の5第1項)。(軽車両以外の場合にはもう少し重いです。)

自転車には免許はないので、免停などの行政処分はありませんが、負傷者に請じた場合の損害についての賠償責任という民事上の責任は自動車による事故と同じように負うことになります。

当然のことながら、自転車による事故よりも自動車による事故のほうが、死亡事故や怪我が重大なものとなる可能性が高いといえますが、自転車によっても死亡事故や重大な怪我が生じるケースは勿論あります。この場合、発生の原因が自動車であるのか自転車であるのかによって、加害者の責任に違いはなく、自動車事故の場合と同じ責任を負うと言っても良いでしょう。

そして、自動車の場合には、自賠責保険の他に任意で自動車保険(人身無制限など)に入っていることが多いと思いますが、自転車の場合には自賠責保険のような強制保険の仕組みがないために、無保険である場合があり、このような場合にはそもそも賠償が出来なかったり、損害賠償を履行した結果、加害者(未成年であればその保護者)自身のその後の生活が破綻するということも考えられます。

任意の自動車保険にはこのような自転車事故の場合の保険も付帯していることが多いと思いますが、一度、保険の説明書を見ておくと良いと思います。また、最近は自動車を持たない人も多くなったと聞きますので、このような場合には何か自転車事故のような場合に備えた保険に入っておいた方がよいと思います。