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株主総会の出席者

上場企業の定時株主総会シーズンの真っ只中で、私も保有している株の株主総会に出席してみたのですが、ついうっかり法人名義で持っている株の議決権行使書を持っていってしまい、受付で一悶着あるという貴重な経験をさせて頂きました。(受付担当の方、めんどくさい株主ですみません。結局、色々と情報を提供して何とか入れてもらえました。)

そこで本日は株主総会に参加できるのは誰なのか?について考えてみたいと思います。

答えは「株主に決まっているじゃん」ということになるのですが、目の前に現れた人が株主かどうかってどのように確認するのでしょうか。実は、株主総会に株主だけを参加させるという受付での判断は、正規の株主が株主総会に参加出来なかったり、逆に、株主でない人が株主総会に参加してしまうと、株主総会の決議取消事由ともなっていることから重要な判断となります。

会社が把握している住所氏名と一致する運転免許証などの身分証明書の提示まで求めればしっかりとした確認をした事になりますが、ここまでやっていると身分証明書を忘れた人への対応等で時間がかかってしまいますので、上場会社等では会社から郵送した議決権行使書を持参しているかどうかで判断するのが一般的なようです。

但し、株主の名義人が法人の場合は少し厄介です。この場合の株主は法人ですが、当然のことながら法人自身が出席することは出来ないので、誰かしら生身の人間が出席する必要があります。この場合に無条件で法人の代わりに出席できるのは代表権を有する代表取締役ということになるのですが、個人企業は別として、大きな会社では社長が株式保有先の株主総会に出席することは重要な取引先等でなければ現実的ではありません。

このため、従業員を代わりに派遣することになるのですが、従業員は当然には会社を代理する権限を持ちませんので、法律的には委任状(職務代行通知書などを含む)を必要としますが、実務的には名刺や身分証など法人との関係が明らかにすることができ、議決権行使書を保有していれば、入場を認めるという運用も多いようです。

ちなみに、法人株主とその職員との関係は代理関係ということになりますが、多くの法人では定款などで株主総会における代理人の資格を株主に限っています。これは株主のみを構成員とする株主総会という集まりに、「代理」という方法を用いて部外者が入ってくるのを防ぐということで適法な制限と解されています。しかし、法人株主の場合にこのルールを厳格に適用すると、上記の原則通り、社長さんが一々株主総会に出席しなければならなくなり、却って株主の権利行使の機会を奪うことになることから、このような制限がある場合でも、法人株主について職員が代理で出席する場合には参加を認めるのが通常です。

いずれにせよ、株主総会の受付には色々な背景の人が来る可能性がある一報で、前述の通り、株主かそうでないかを正確に判断する必要がありますので、株主総会の運営側としては、事前にいくつかのパターンを想定した上で対応を準備する必要があります。

以上、ご参考になればと思います。