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買ったものに不具合があったら

2016-04-09

買ったものに何か買った時に気付かなかった問題(不具合)があったとき、買主は売主に対して何が請求出来るのでしょうか。

民法上のルール
法律(民法)上のルールでは、もし、買ったものが新品で問題のないものと交換できるようなものの場合は、問題のないものとの交換を求める事が出来ますし、交換してもらえないなら契約の解除や損害賠償請求ができます(民法541条・545条・415条)。

不動産や中古品など、代替品が無い場合には新しいものと交換することは出来ませんから、その不具合について損害賠償を求めることができ、もし、不具合によって買ったものが使い物にならないということであれば解除出来ます。これらの権利は不具合を知ってから1年以内に行使する必要があります(民法570条・566条)。

当事者間の合意による修正
法律ではこのように決まっていますが、売主と買主との間でこれと違うルール(契約)を定めることが出来ます。(このように法律と異なる定めが出来る場合の法律を「任意規定」といいます。)

例えば、電気屋でテレビを買ったときの保証条件やオークションで「ノークレーム・ノーリターン」の条件がつけられる場合がこれにあたります。

では、ノークレーム・ノーリターンなど当事者間で約束してしまうと、たとえ酷い不具合があっても何もいえないのでしょうか?
事情によっては詐欺や錯誤を主張することができるかも知れません。また、売主がビジネスとしてやっている場合(会社と個人のいずれの場合もあり得ます。)には、売主の責任を全て免除するような条項は消費者契約法8条で無効とされていますから、ノークレーム・ノーリターンの約束自体が無効だということで法律のとおりの権利を主張することができます。

ビジネス上の売買での注意点
なお、売買が会社間などでビジネスとして行われている場合には注意が必要です。
商法526条で次のようなルールを定めているからです。
① 買主は買ったものを受け取った時に遅滞なく検査しなければならない。
② この検査によって不具合や数量不足を見つけたときはすぐに売主に通知しなければならない。また、不具合等がすぐに見つけられないようなもの(隠れた瑕疵)であっても6カ月以内に売主に通知しなければならない。
③ この通知をしなかったときは、買主は売主に対してその不具合等を理由とする解除・代金減額や損害賠償が請求出来なくなる。(売主が不具合等を知っていた場合をのぞく。)

これは、ビジネスとしての売買であれば、見て判る不具合はすぐに発見出来るし、すぐに判らないような不具合についてもいつまでも責任を負わなければならないとすると売主の負担になるので、早期に問題があるかどうかをはっきりさせて関係を安定させようという考えでもうけられたものです。
これは不動産や中古品の様な特定物であっても、部品の様な不特定物であっても同じです。

ただ、取引によっては、すぐに判らない不具合について6カ月以内に通知出来なければ売主に対する責任追及が出来なくなるというのでは買主にとって困ることが多いと思います。例えば、部品や材料を買って製品を作ってエンドユーザーに売っている場合に、しばらく経ってエンドユーザーの元で不具合が発生して、元の部品や材料の不具合が判明するケースというのは十分に考えられます。
そこで、この商法526条も任意規定ですから、売買契約をするにあたって、通知出来る期間を長くしたり、すぐに判らない不具合については期間が経過した後も、売主に責任追及出来るというような内容の保証条項(瑕疵担保責任と呼ばれたりもします。)を入れることが考えられます。

なお、売主と買主の間に下請法が適用される関係がある場合(メーカーと部品サプライヤーなど)には、保証の内容として返品や交換をできるとする場合には下請法上期間が制限されていますからこの点に注意する必要があります。