スポンサーリンク

弁護士=Lawyerではない?

突然ですが、「弁護士」は英訳するときにどのようにいえば良いでしょうか?

パッと思いつくのが”Lawyer”かも知れませんし、私も海外で一般の人(入管手続)などで説明する時は手っ取り早く”Lawyer”といってしまうこともありますが、改まった場では”Attorney at law”といったり”Counsel”と説明したりします。(他の弁護士の名刺を見ても、名刺の裏側(英語表記)には、Attorney at law”と書いてあることが通常です。)

このあたりは、法律関係の仕事というザックリしたところでは共通しても、国によって資格や、各資格の守備範囲が異なることによって、一対一で翻訳するのが難しいということになります。

日本では法律関係の仕事だけでも、次のように、いくつもの資格があります。

弁護士(Attorney at Law)

法律関係の業務を幅広く扱います。特に、法的紛争での裁判所又は裁判外での代理の殆どは弁護士の独占業務とされています。また、刑事事件での弁護人は弁護士の独占業務です。(従って、弁護士でない人がこのような業務を行うと弁護士法違反となり処罰されます。)

また、紛争とならなくとも普通の法律に関わる相談(例えばあるビジネスが適法か、また、そのビジネスを行う上での法的リスクは何か、ビジネスが上手くいっていない場合の再建方法など)も弁護士の普通の業務といえます。

税理士 (Tax Accountant)

法人や個人の税務申告(確定申告など)やその代理を主な業務とします。また、その前提として帳簿などを見ることになりますので、経営相談的なこともされていることが多いようです。一般の個人であれば、相続税の申告などでお世話になることがあるかも知れません。

司法書士(Judicial Scrivener)

法務局で行っている法人の登記や不動産の登記に関して、書類の作成や申請の代理をすることが主な業務とされています。また、目的物の価格が140万円以下の場合には簡易裁判所での民事訴訟の代理など、法的紛争の代理をすることが出来ます(弁護士法の例外です。)。

行政書士(Certified Administrative Procedures Specialist)

官公署へ提出する書類の作成やその提出の代理が主な業務です。外国人の在留資格に関する申請についても代理(正確には申請取次といいます。)することが出来ます。

離婚や相続などの法的紛争(又は法的紛争になりそうなもの)について対応することを宣伝している行政書士もいますが、基本的には弁護士法違反となるので注意が必要です。

社会保険労務士(Labor and Social Security Attorney)

労基署やハローワーク、年金事務所など、労働・社会保険分野の役所に提出する書類の作成や提出代行が主な業務です。また、労働紛争について裁判外での手続(労働委員会のあっせんや労働ADRなど)で当事者を代理することも一定の範囲で認められています。

弁理士(Patent Attorney)

特許や商標などの知的財産に関する出願申請書類の作成や代理が主な業務です。またこれらの知的財産に関する紛争についても一定の範囲で代理をすることが出来ます。

 

法律専門家の選択

どの資格も、ザックリいえば”Lawyer”なのですが、それぞれの資格に守備範囲があり、時として他の士業の業務も取り扱いますと宣伝している場合もありますが、法令違反となってしまう場合や、法令違反にならないまでも、専門分野ではないため依頼者の損になってしまう場合が多々あります。

例えば、許認可申請や登記申請であれば弁護士でもできたりはしますが、細かい実務までは普段から数をこなしている行政書士の方が間違いが少なかったり、時間や費用の節約にもなったりします。他方で、紛争になりそうな案件の相談では、代理を出来ない行政書士や司法書士などに相談しても、最後の手段としての訴訟提起が代理できない以上、選択肢が限られた中での相談ということになり、依頼者にとってベストの選択ができるとは限りません。(提携している弁護士に照会するとしているところもありますが、費用や時間が二重でかかる事になり、最初から弁護士に相談した方がbetterです。)

破産で私が破産管財人となったケースでは、顧問税理士からアドバイスを受けたと思われる財産処分行為があり、ことごとく否認し破産者が思いもよらなかった結果になったこともありました。

相談の最初の段階で、適した他の専門資格者への相談を進められる場合もあるかも知れませんが、中にはそのまま相談を受けてしまう資格者もいると思いますので、自分が依頼・相談すべきはどの資格者か?ということにも気をつけるようにして下さい。