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求人票詐欺にあったらどうするか?

皆さんは「求人票詐欺」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ハローワークなどで掲出している求人票と実際に締結される労働契約の条件が異なる(労働者の不利益になる)というものです。例えば、求人票では期限の定めのない契約(正社員)であったのが、実際には期間の定めのある契約社員であったというような場合です。

どうしてこのような事が起きるのかというと、正社員とする条件の求人票をみた求職者と面接する際には、実際には契約社員となることを特に説明せずに、採用して、実際に働き始める時に正式な労働契約(労働条件通知書など)を渡して署名・押印を求め、そこには1年毎更新の契約社員と書いてあるというような場合です。

このような場合に、そのまま労働契約に署名・押印するのか?拒否すれば良いのでは?と考えられるかも知れませんが、多くの場合、余り契約の内容を気にせずに署名・押印してしまうケースや、働き始めている以上、他に仕事をしていないのが前提になるのでやむを得ず署名・押印してしまうということが多いと考えられます。

求人票詐欺との戦い方

では、このように求人票と異なる労働条件の契約書に署名・押印してしまったら、会社側と争うことは出来ないのでしょうか。例えば、給料が求人票と異なる場合に差額を請求したり、契約社員である事を前提に雇い止めにあった場合に、正社員であるとして解雇無効を主張することは出来ないのでしょうか。

このようなケースにおける判例では、求人票の内容が原則として雇用契約の内容になるとした判例があります。そうすると、求人票と異なる雇用契約書の作成をどう扱うのかが次に問題となりますが、雇用契約の変更と捉えて、労働者側が内容を十分に理解して自由な意思に基づいて変更に応じたのかを判断したものがあります。

具体的には、求人票で記載されていたとおり、期間の定めのない契約が成立したと判断した上で、期間の定めのある契約として作成した雇用契約については、既に前の勤め先を退職してしまっており、他に行き場がなかった事を重視して、労働者の自由な意思に基づいてなされたものとはいえないとして、効力を認めず、結局、求人票どおりの雇用契約の成立を認めました。

裁判は、それぞれの事件の事実に基づく判断ですので、全ての求人詐欺の事例において同じ判断が出るというものではないですが、求人票と異なる雇用契約を作成している場合であっても、争う余地があるというのは労働者にとって選択肢が増えることになるのではないでしょうか。

このような求人票詐欺をするようなブラック企業は、労働者が泣き寝入りする事を前提にしていることが殆どです。つまり、10人同じ方法で雇って、2~3人から争われても、他の7~8人を会社に都合の良い条件で働かせられれば、経済的に見合うと考えてやっているのです。

このようなケースを無くすためには、求人票詐欺に遭ったときに、どんどん争って行くしかないと思います。