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会社から損害賠償を求められたら

2016-01-17

仕事で何か失敗をして会社に損害を与えてしまったとします。

損害といっても、取引先を失ったり、契約をとり損ねてしまったり、あるいは、何かトラブルを起こして取引先や他の第三者へ会社が損害賠償しなければならないなど様々考えられます。

こんな時、会社からミスをしたのだから弁償しろと請求された場合、これに応じなければならないのでしょうか。

働いている人と会社との間には、雇用契約があり、雇用契約の内容として従業員は会社に対して善管注意義務を負っていますので、何か過失があって損害が出ればこれを賠償しなければならないというのが1つの理屈です。

でも、発生した損害全てを賠償しろといわれたら要注意です。

何故なら、会社というのは多くの従業員を使って事業活動をしているわけですが、人をたくさん使って様々な活動をしていれば何かしらの人為的なミスが発生し損害が発生するのは当然のことです。

とすると、会社は従業員を使って事業活動をしてお金を儲けているのに、その事業活動から発生する損害だけ従業員に押しつけるのは不公平ですし(「報償責任」という考え方です。)、また会社としては事業活動から発生する可能性のある損害に対して、保険をかけたり様々な防止策を講じるなど出来る立場にあるのですから(「危険の管理責任」という考え方です。)、会社が発生した損害を全て従業員に押しつけるのはおかしいという考え方に繋がります。

裁判所もこのような考え方に基づいて、会社の従業員に対する損害賠償請求に対しては、その範囲について制限するという立場をとっています。

ではどの範囲で従業員は損害賠償を求められるのかということが気になりますよね。あくまでもケースバイケースなのですが、よほどのミス(金額というよりはミスの度合いです)をしない限り、50%以上の損害を賠償するよう認められることはまれで、通常のミスであればそもそも損害賠償が認められないか、認められるとしても10%から30%程度で責任が認められることが珍しくはないと考えられます。

もっとも、横領や経費のごまかしなどの詐欺、社内での暴力行為など、ミスとは言えない故意によって損害を発生させた場合には、このような理屈は通じないため、全額の損害賠償を求められることになりますのでご注意下さい。

また、損害賠償請求されないにしても、人事考課での評価や懲戒などは別の話ですので、ミスに相応の社内処分を受けることが考えられます。