法律の小窓

下請法違反となる「下請代金の減額」

下請法が禁止する「下請代金の減額」

受注した仕事についての支払が、発注書の金額と違ったことはありませんか?

などなど、パターンは色々とありますが発注書通りの金額支払われないことが良くあるようです。

このような行為は、下請法が禁止している「下請代金の減額」に該当するので、下請法が適用される取引では禁止されています。

よくあるのが、「業界の慣行だから」「みんなやっている」「下請からも文句を言われたことがない」という言い訳ですが、これらは通用せず、もし明確にそのような合意があるのであれば受発注書面に最初から取引条件として反映させる必要があります。

つまり、受発注書では高い単価を設定しておいて、取引慣行を理由に後で減額をしていくことは許されないということです。

ちなみに、振込手数料を支払う側が負担するのが法律上の原則(民法484条、商法516条)ですので、振込手数料を受け取る側が負担するには当事者の合意(または別の法律の規定)が必要となります。

下請法に違反して「下請代金の減額」をした場合、本来払うべき代金の一部を支払っていないこととなるため、通常は、その部分について支払期限を越えることになり、下請法が定める14.6%の遅延損害金の支払義務も負うことになります。

「下請代金の減額」が許される場合

他方で下請法が禁止している「下請代金の減額」は、「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金を減ずること。」ですので、下請事業者に責任があるような場合の減額は許される事になります。

例えば

などが考えられますが、あくまでも下請事業者に責任がある範囲の減額に限られますので、過大な減額や、そもそも不備と認められる範囲について発注者側と下請事業者側で争いがある場合に、発注者側が勝手にその範囲を決めて減額した代金を支払った場合には、下請法違反の可能性が出てくることになります。

基本的には、受発注書で定められた代金、支払条件よりも不利な金額で支払われると、下請法で禁止される「下請代金の減額」に該当するのではと考えた方が良いと思います。

逆に言えば、ボリュームディスカウントも、予め従前の実績よりも多く発注がされたら単価を下げるというような合意が書面かされており、それが受発注書とリンクして一体の条件となっている場合には、受発注書通りの支払となり、「下請代金の減額」にはならないのです。(下請事業者に不利な条件を押しつけると「買いたたき」になり得るので、この点は注意が必要です。)

発注条件については予めよく協議をして、受発注書(3条書面)で明記するようにしましょう。