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債権回収会社からお手紙が届いたら

ふつうは受け取らない手紙ですが、経営者の方で事業がうまくいっていなかったり、保証人になっていて債務者本人がお手上げな状態になったりすると、債権回収会社からお手紙が届きます。

債権回収会社とは、その名のとおり、お金(特定の種類の債権)の取り立てをすることを業としてやっている会社で、弁護士法(弁護士法で、弁護士以外の者が業として委託を受けて債権回収することは禁止されています。)の特例として認められた会社です。サービサーと呼ばれたりもします。

法務大臣の許可を得て事業をやっているわけですし、法律で債権回収の際に「人を威迫し又はその私生活・業務の平穏を害するような言動により,相手方を困惑させる行為」をすることは禁止されていますので、それほどひどいことをしてくるわけではないのですが、大きな赤い字で「督促状」とかのタイトルをつけた手紙を送ってくるので慣れない人は驚くでしょうし、電話などはしつこくかけてきます。なかには裁判をやった後に近所の金融機関に片っ端から差し押さえをかけてくるなんてこともあります。

本題に入りますが、債権回収会社から督促のお手紙が届くということは、借金や保証債務を長いこと返さずにいる膠着状態にあると思います。債権回収会社からのお手紙といっても実は二通りありまして、①銀行などから債権回収の委託を受けている場合と②銀行などから債権譲渡を受けた場合とがあります。

①ではお手紙で債権回収会社は自分のことを債権回収業務の委託を受けた受託会社と名乗ってきます。

この場合は残念ながらそれまでと状況は変わらず、取り立て方法がアグレッシブになる分、状況が悪化したといえます。

②ではお手紙で債権回収会社は自分のことを債権の譲受人と名乗ってきます。

この場合、債権の全額は無理でも一部だったらなんとかなるというのであれば交渉のチャンスといえます。

なぜなら①の場合では、債権額を減らす交渉というのはなかなか難しいですが、②の場合ですと早期一括の支払いなどを条件に債権額そのものを大きく減らすことが十分に可能だからです。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

仮にあなたがA銀行から1000万円を借りていて(あるいは保証債務の履行を求められていて)、これが返せなくなっているとします。

A銀行ではあなたに1000万円のお金を貸したという債権を自分の帳簿に載せているわけですから、返済がされないからといってそうそう簡単に減額に応じる訳にはいきません。債権の減額を損金として税務署に認めてもらうには一定の条件があり、そう簡単に認める訳にはいかないのです。

①で債権回収会社に委託をしただけでは、A銀行が1000万円の債権を帳簿に載せている状況は変わらないので、債権額の減額は難しいという状況は変わりません。

②で債権回収会社のB社に債権譲渡がなされると、A銀行は1000万円とB社に売ったときの売値の差額を損金として処理でき、損をしたけど税金の計算で損金にできただけマシかといことで退場します。B社ではA銀行から買ったときの値段で帳簿に載ることになるのですが、この買取金額がポイントです。

もちろん、債権の買取金額は債務者、つまりあなたの経済状態やこれまでの返済の状況、今後の返済の見込みから決められるのですが、債権回収会社が登場するのは相当に煮詰まった状況ですから、驚くほど安い値段で債権が取引されていることが多いと聞きます。

もとの債権額の10%なんてのは良い方で、場合によっては5%以下なんてのもざらにあり得ます。

そうすると、どういうことが起こるかというと、債権回収会社のB社にとっては100万円回収できただけでも、元々50万で買い取った債権であれば、倍になるので大きく儲かったということになります。

もちろん、債権回収会社もできるだけ儲けたいですし、買ったけど全く回収できない債権もざらにあるので、取れるところからはトコトンとるという姿勢をとりますが、それ以上に、買った債権は、とっとと回収できそうな分だけ回収して、その資金で新たな債権を買いたいというインセンティブがありますから、このことを念頭に交渉すれば、大きくディスカウントしてもらえる可能性が大きくなります。

交渉のポイントは、自分からはいつまでたっても回収できないということを強くアピールすることです。

事業が赤字であることや返済原資がないことをアピールするのです。その上で、知り合いから援助が受けられそうなので、一括でディスカウントしてくれるなら頼んでみるのだけど…と持ちかければうまくいくことが多いと思います。(もちろん、これで債務整理にすべてめどがつくことが条件で、一部の債権しか弁済できないなら、知り合いからの援助は、民事再生でのスポンサーや破産後の再建など、ほかに使うべきです。)

そうはいっても向こうもプロなので、どうしても動かないようなら弁護士に依頼するのも一つの手です。

どうぞ参考にしてみてください。