メルカリアカウントの不正作成で逮捕されるという話
日経新聞の記事で、メルカリのアカウントを約11万個もの不正作成して、1個800円~900円程度で販売していた者が逮捕されたという事件が紹介されていました。
事件自体は少し前で2017年6月のことのようですが、このような不正アカウントは偽物や詐欺などの不正取引の道具としても使われるため、メルカリの運営側で防ぎたいが、モグラたたき状態になって困っているという内容でした。
この事件での逮捕罪名は「私電磁的記録不正作出・同供用罪」という犯罪行為ですが、これはどのような犯罪行為なのでしょうか。
私電磁的記録不正作出・同供用罪とは
条文を見ると、刑法161条の2で以下のように定められています。
要するに、メルカリは不正なアカウントの作成を禁止しているにもかかわらず、不正の情報を提供してアカウントを作成した行為が、第1項違となり、そのような不正アカウントを販売したことが第3項違反になるということになるということだと思われます。
ちなみに別の事件では、不正にログインできたアカウントを利用して、オークションで落札などした行為自体について、電磁的記録不正作出・同供用罪が問題となりましたが、このような落札行為は同罪の対象とはならないという判断も出ていて、何がこの罪の対象となるのかについては微妙なところがあります。(なお、既存のアカウントにログインした行為については、当然のことながら不正アクセス禁止法違反となります。)
伝統的には、プリペイドカードの情報の偽造・変造だったり、サーバーにアクセスした上でその情報を不正に書き換えることが対象ですが、様々なIT技術・サービスの進歩によってその適用範囲が広がっているようです。
架空のアカウント作成は全て犯罪か?
ここで気になるのが、アカウント作成でデタラメな情報を入力したら、全て犯罪行為になってしまうのか?ということです。
メルカリの事例では登録用の電話番号は全てSIMカードで用意したようですが、名前や住所とかはデタラメだったと思われます。でも、名前や住所についてデタラメな情報を入力をしてアカウントを作るなんて、フリーメールやSNSなどで、やっている人も結構いるのではないでしょうか?
アカウントを売らなければ良いというわけではないのは、第1項で不正なアカウント作成自体が違法とされている事からも明らかです。このため、第1項の最初の「人の事務処理を誤らせる目的で」というところがポイントになるのではと考えられます。
つまり運営が架空の情報を使うことや複数のアカウント作成を禁止したりしているサービスとの関係では、このようなアカウント作成である事が運営側に知られればアカウント作成を拒否するでしょうから、これを回避してアカウント作成させれば違法となりますし、反対に、サービスの利便性のために本名での利用を推奨しますとか、複数アカウントの作成についても厳格に制限していないサービスであれば違法にはならないという判断になるのではないでしょうか。
皆さんも、うっかり違法行為をすることのないよう、サービス利用時は規約をよく確認するようにしましょう。