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改正個人情報保護法とPTA・マンション管理組合

改正個人情報保護法が平成29年5月30日に全面施行されます。

ビジネスの分野では、ビッグデータの取扱が明確化されることが話題となっており、その利用についての議論も進んでいるようですが、もう一つの大きな改正点が個人情報保護法の適用対象の拡大です。

こちらの記事でも話題にしましたが、今までは5000人以上の個人データを保有する事業者だけが対象者であったのが、5000人未満の個人データを扱う事業者も対象となり、事業者には営利・非営利を問わないことから、何らかの活動をしている団体や事業主であれば基本的に該当するようになります。

身近な例としてはPTAやマンションの管理組合なども個人情報保護法の対象者となるものと考えられます。

PTAと個人情報保護法

実態が今ひとつ不明確なPTAですが、基本的には学校とは別の団体(法律上の分類としては通常は「権利能力なき社団」ということになると思います。)であり、PTAと学校の個人情報のやり取り一つとっても第三者への提供に該当しうることから個人情報保護の問題が発生することになります。

ちなみに、学校が公立の学校であれば、個人情報保護法第2条第5項で除外されていますから個人情報保護法に基づく個人情報取扱事業者には該当しませんが、その代わりに各自治体の個人情報保護条例などのルールに服する事になります。

PTAと個人情報保護法がどのように関わるかといえば、先ずは新入生の保護者のPTAへの加入の段階が問題となり得ます。自分の子どもの時にどうだったのかすっかり忘れてしまいましたが、学校側がPTAに対して新入生(や保護者)の名簿を渡してしまっている様な場合には、PTAとしては個人情報の適正な取得(個人情報保護法17条)をしていないことになりかねません。

今後は、PTAから学校に依頼して、新入生にPTA加入案内を配布してもらい、保護者からの加入届の提出と共に連絡先などの情報を取得するという流れが必要になってくると思われます。

この場合、新入生のリストがPTAの手許になければ、全ての保護者が加入したかの突き合わせが難しく、問題となっているPTAの実質的な強制加入状況に変化が生じるかも知れません。(個人情報保護法遵守を真面目にやればですが…)

また、集めた情報の適切な管理や目的の範囲内での利用などが必要になりますから、名簿を鍵のかかる場所で管理したり、利用の場面を想定した個人情報利用目的の設定(学校との情報のやり取りについても明記した方が良いでしょう。)と開示などをする必要があります。

このあたりは、一度、個人情報保護規約を作ってしまえばそれに従ってやってしまえば良いわけですから、早めに対応してしまうことをお勧めします。逆に規約がないと、役員の方々はルールが判らずに右往左往する場合が考えられます。

マンション管理組合と個人情報保護法

こちらは、皆さん意識的にマンション管理組合に加入するので、PTAほど個人情報取得の場面で問題になることはなさそうです。

ただ、偶々私が理事をしているときに発生したのが、マンションの防犯カメラの映像を警察に提供して良いかという問題です。マンションの防犯カメラに、事件の場面が映っているかも知れないのでと警察から防犯カメラの映像の提供を求められて、管理人さんから提供して良いですかと尋ねられて少し迷ったのです。

当時は、マンション管理組合は個人情報保護事業者ではなく、また、仮にそうだとしても、国や地方公共団体などの組織が法令に基づく事務を遂行する(つまり警察の捜査)のに協力する必要がある場合に個人情報を提供しても、個人情報保護法で禁止する個人情報の第三者提供に該当しないため(個人情報保護法23条1項4号)、問題はないのは分かっていたのですが、万が一、カメラに写っているのが住民の一人で、後から文句を言われたら面倒くさいなぁと思って、個人情報保護規約で明確になっていたらよかったのにと思ったことかあります。

今後はマンション管理組合の個人情報取扱事業者となりますし、防犯カメラの映像で個人を識別できるものも個人情報に該当するので、管理組合として個人情報保護規約を制定した方が、理事の方々も安心できるのではないかと思います。