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下請法に違反したらどうなるのか

2017-04-11

下請法に違反する行為があった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。

1 親事業者に対する調査

公正取引委員会や中小企業庁は、親事業者や下請事業者に対し、その取引に関する報告をさせ、親事業者や下請事業者の事務所に立ち入って帳簿書類などの物件を調査する権限があります。

また対象企業の監督官庁も、これらの調査に協力するために下請取引に関する調査をすることができます。

個別の事案の調査は親事業者や下請事業者に対する報告を求めた結果や下請事業者からの申し立て、関係省庁からの通知によって開始されます。

2 違反行為に対する手続

公正取引委員会は、調査の結果、下請法に違反する行為が認められた場合には、親事業者に対して違反行為を改善するように勧告や指導の措置を採ります。

この勧告が行われた場合、違反した親事業者名や違反事実の概要等が公表されます。

また、親事業者が公正取引委員会の勧告に従わない場合には、独占取引法に基づく排除措置や課徴金納付命令が行われることがあります。

他方で、親事業者が調査が始まる前に自発的に違反行為を改善し公正取引委員会に申し出をしたときには、勧告をしないという運用をしているようです。

3 罰則

3条書面の交付義務違反、5条書面の作成・保存義務違反、報告徴収に対する報告の拒否や虚偽の報告、立入検査の拒否、妨害、忌避に対しては、実際の違反行為者と企業の双方に50万円以下の罰金が課せられます。

4 親事業者と下請事業者のなすべきことは

親事業者にとって下請法違反となることは、罰則や下請代金の遅延の場合の遅延利息支払義務なども不利益ですが、勧告を受けるに至って違反の事実を公表されることになった場合、会社のレピュテーションが大きなダメージを受けることになります。

このような事態を避けるため、親事業者となる企業としては従業員を十分に教育し下請法違反とならないように注意する必要がありますし、取引のやり方を定期的にチェックして下請法違反がすでに起こっていないかを確認する必要があります。

違反の事実が見つかった場合は、速やかに改善し、勧告を出されて会社名を公表されるリスクを避けるため、公正取引委員会等への自主的な申告も検討すべきです。

 

他方で、下請事業者にとって、対応は単純ではありません。 親事業者に対して下請法違反の事実を伝えて改善を要求し、改善されなければ公正取引委員会や中書企業庁へ申告する訳ですが、残念ながら、禁止されていても、親事業者から表向きはそうとならないよう報復措置が採られるリスクがあるからです(報復措置そのものが下請法で禁止されているわけですが…)。従ってこのようなリスクも織り込んだ上で上記のような対応をとるか決断をする必要がありますが、最後の手段として下請法に基づく申告があることは覚えておいたほうがよいでしょう。